カブトムシの産卵セットを組んだあと、「いつ割り出せばいいの?」「卵や幼虫を傷つけずに取り出せるかな?」と悩む人は多いのではないでしょうか。
割り出しとは、産卵セットのマットを崩して卵や幼虫を取り出す作業のことです。しかし、タイミングが早すぎると十分に産卵していない可能性があり、反対に遅すぎると幼虫を傷つけたり、マットの状態が悪くなったりする恐れがあります。
本記事ではカブトムシの割り出しに適したタイミングや具体的な方法、失敗しないコツをわかりやすく解説します。実際の100円ショップ用品だけを使った飼育経験も交えながら紹介するので、初めて割り出しをする人もぜひ参考にしてください。
割り出しとは?
割り出しとは、産卵セットのマットを崩して、卵や幼虫を取り出す作業のことです。
カブトムシのメスはマットの中に卵室を作り、その中へ卵を産み付けます。そのため、産卵セットの外からでは卵や幼虫の数を確認できません。
産卵期間が終わったらマットを少しずつ崩しながら卵や幼虫を探し、新しいケースへ移します。この一連の作業を「割り出し」と呼びます。
これから産卵セットを準備する人は、「カブトムシの産卵セットの作り方」もあわせてご覧ください。
なぜ割り出しを行うの?
割り出しを行う目的は、卵や幼虫を安全に育てるためです。
産卵セットのまま飼育を続けると卵や幼虫の数がわからず、生育状況を確認できません。また、マットが劣化すると幼虫の成長に影響する可能性もあります。
割り出しを行えば卵や幼虫の数を確認できるだけでなく、状態に合わせて新しいマットへ移し替えられます。
自然界との違い
自然界では、カブトムシの産卵後に人が手を加えることはありません。幼虫はそのまま土の中で育ち、成長していきます。
一方、家庭で飼育をする場合、ケースの中の限られたスペースで育てるため、マットの交換や幼虫の管理が必要になります。割り出しは飼育環境を整え、幼虫を健康に育てるための大切な作業といえるでしょう。
割り出しに適したタイミング
割り出しは、産卵セットを設置してから約2週間前後を目安に行うのがおすすめです。
ただし、メスの状態や飼育環境によって適切なタイミングは多少前後します。早すぎても遅すぎてもデメリットがあるため、バランスの良い時期を選ぶことが大切です。
2週間前後がおすすめな理由
多くの場合、メスは産卵セットへ入れてから数日かけて環境に慣れ、その後に産卵を始めます。約2週間経つ頃には十分な産卵期間を確保できるため、卵や初齢幼虫を確認できる可能性が高くなります。
また、産卵から約2週間であればマットの状態も良く、卵や幼虫を見つけやすいタイミングです。初めて割り出しをする人でも、比較的スムーズに作業を進められます。
まずは2週間を一つの目安に割り出しを行うと安心です。
早すぎる場合
産卵セットを設置してからすぐに割り出すと、まだ十分に産卵していない可能性があります。
メスは新しい環境に慣れてから産卵を始めるため、投入直後は地中を移動して場所を探していることも少なくありません。その結果、卵がほとんど見つからず、「産まなかった」と勘違いしてしまうことがあります。
なお、産卵数はペアリングの状態によっても変わります。詳しくは「カブトムシのペアリング方法」をご覧ください。
遅すぎる場合
反対に、長期間産卵セットをそのままにしておくと、マットが劣化し、幼虫の飼育環境が悪くなることがあります。また、孵化した幼虫が増えると管理もしにくくなり、割り出しの際に見落としたり、誤って傷つけたりするリスクも高まります。
マットやゼリーにはカビが発生することもあるため、状態を確認しながら適切なタイミングで管理することが大切です。カビが発生した場合の対処法については、「カブトムシ飼育で発生しやすいカビの種類と対処法」で詳しく紹介しています。
幼虫を良い環境で育てるためにも、産卵後は適切なタイミングで割り出し、新しいマットへ移すことが大切です。
割り出し前に準備するもの
割り出しを始める前に、必要なものを準備しておきましょう。以下のものを事前にそろえておくことで、卵や幼虫への負担を減らしながらスムーズに作業できます。
- ケース
- スプーン
- 新しいマット
ケース
割り出した卵や幼虫を移すためのケースを用意します。作業用として一時的に使うケースと、そのまま幼虫を飼育するケースを準備しておくと、スムーズに作業できます。
特に3齢幼虫は体が大きくなるため、広さに余裕のあるケースを使用すると長く使えて便利です。
スプーン
マットを崩す際は、プラスチック製のスプーンがおすすめです。金属製のスコップは卵や幼虫を傷つける恐れがあります。
スプーンを使い、少しずつ優しくマットを崩しましょう。卵や幼虫は小さいため、スプーンも小さめのものを使うと作業が進めやすいです。
新しいマット
割り出した卵や幼虫は、新しいマットで管理します。古いマットは劣化している場合があるため、新しいマットをあらかじめ加水し、ケースへ入れて準備しておくと作業がスムーズです。
市販の発酵マットを使用する場合は、ガス抜きをしてから使用すると安心です。ガス抜きについては、「ガス抜きとは?必要な理由と正しい方法」で詳しく解説しています。
割り出し方法
ここでは、初心者でも行いやすい基本的な割り出し方法を紹介します。
ケースをひっくり返す

まずはケースをゆっくり逆さにし、マットを取り出します。新聞紙やトレーの上で行うと、卵や幼虫を見つけやすく、マットも散らばりにくくなります。
ケースを強く振ったり、勢いよくマットを落としたりすると卵を傷つける恐れがあるため、ゆっくり作業しましょう。
少しずつマットを崩す

マットは一度に崩さず、外側から少しずつほぐしていきます。スプーンや手を使い、塊を優しくほぐしながら確認すると、卵や幼虫を見逃しにくくなります。
カブトムシのメスは、マットの中に「卵室」と呼ばれる小さな空間を作り、その中に卵を産み付けます。固く詰まっている部分や、丸くまとまったマットの中に卵があることもあるため、力を入れず慎重に崩しましょう。
卵・幼虫を探す
マットを崩しながら、卵や幼虫を探します。
カブトムシの卵は初めは3㎜ぐらいの細長い形をしていますが、時間がたつと5㎜ぐらいになって丸くなります。初齢幼虫は体が小さく半透明です。見つけたら、指で強くつままず、スプーンなどを使って優しく取り出しましょう。
» 教育出版「こん虫ずかん カブトムシ」(外部サイト)
» 初齢幼虫とは
卵室を崩してしまっても、すぐに新しいマットへ移せば問題ありません。
新しいマットを入れたケースへ移す
取り出した卵や幼虫は、あらかじめ新しいマットを入れておいたケースへ移します。すべて移し終えたら、ケースを直射日光の当たらない場所で管理し、定期的に様子を確認しましょう。
ケースへの移し方については、次の章で詳しく解説していきます。
卵と幼虫を見つけたら

割り出しをして卵や幼虫を見つけたら、できるだけ早く新しいマットを入れたケースへ移しましょう。ただし、どちらもデリケートな時期のため、無理に触ったり乾燥させたりしないことが大切です。
ここでは卵や幼虫を傷つけずに移すためのポイントを紹介します。
卵
- 乾燥させない
- 軽く埋める
- 強く触らない
卵は乾燥に弱いため、取り出したら新しいマットへ移します。マットに卵が軽く隠れる程度の穴を開け、そっと埋めましょう。埋めたあとは強く押し固めず、ふんわりとマットをかぶせてください。
卵の向きを気にする必要はありません。多少向きが変わっても、そのまま正常に孵化することがほとんどです。
初齢幼虫
- 無理に押し込まない
- マットの上に置けば潜る
- 乾燥に注意
初齢幼虫は体が非常に小さいため、できるだけ優しく扱いましょう。 新しいマットへ移す際は、無理に埋める必要はありません。マットの上へそっと置けば、自分で潜っていきます。
なお、孵化直後の幼虫はしばらく動かないことがあります。すぐに潜らなくても慌てず、数時間から1日ほど様子を見てみましょう。
幼虫が元気に潜り始めれば、順調に新しい環境へ適応していると考えられます。
我が家の100均飼育では

1回目に組んだ100均の産卵セットでは、卵や幼虫は確認できませんでした。割り出しの様子や結果は、こちらの飼育ログで詳しく紹介しています。

現在は条件を見直して、2個目の産卵セットを組んでいるところです。
割り出しで失敗しないコツ
初めての割り出し作業では、「卵を傷つけたらどうしよう」と不安になるかもしれません。ここでは、失敗を防ぐために意識したいポイントを紹介します。
力を入れない
マットは力任せに崩さず、少しずつほぐしましょう。卵や初齢幼虫はマットの中にいるため、強く押したりスコップで掘り返したりすると傷つける恐れがあります。
スプーンや手を使い、優しく作業することが大切です。
明るい場所で行う
卵や初齢幼虫は小さいため、暗い場所では見落としてしまうことがあります。自然光の入る場所や、手元を照らせる明るい照明の下で作業すると、卵や幼虫を見つけやすくなります。
マットを乾かさない
卵や幼虫は乾燥に弱いため、長時間マットを放置しないようにしましょう。割り出しはできるだけ短時間で終え、見つけた卵や幼虫は順番に新しいケースへ移していくのがおすすめです。
焦らない
卵がなかなか見つからなくても、焦る必要はありません。
マットの中には見つけにくい場所もあるため、少しずつ崩しながら丁寧に探していきましょう。時間をかけて慎重に作業することが、失敗を防ぐ一番のコツです。
よくある質問
卵が1個もありません
メスが卵を産まない場合は、次のようなさまざまな原因が考えられます。
- 交尾が成立していなかった
- 産卵期間が短かった
- 産卵環境が合わなかった
一度条件を見直し、再度ペアリングや産卵セットを試してみましょう。ペアリング方法については、「カブトムシのペアリング方法」で詳しく解説しています。
幼虫だけいました
卵がなく、幼虫だけいても問題ありません。割り出しのタイミングによっては、卵がすでに孵化し、初齢幼虫になっていることがあります。
幼虫が元気に動いていれば、そのまま新しいマットへ移して管理しましょう。
卵を触ってしまいました
軽く触れた程度であれば、過度に心配する必要はありません。
ただし、強くつまんだり押したりすると傷つく恐れがあります。取り扱う際は、スプーンなどを使って優しく移動させましょう。
マットは再利用できますか?
マットの再利用はおすすめできません。産卵後のマットは栄養が減っていたり、フンが増えていたりするため、幼虫の飼育には新しいマットを使用する方が安心です。
使用済みマットの処分方法については、「使用済みの昆虫マットはどう捨てる?正しい処分方法」をご覧ください。
まとめ
カブトムシの割り出しは、産卵セットを設置してから約2週間前後を目安に行うのがおすすめです。
作業の際は、マットを少しずつ優しく崩し、卵や幼虫を傷つけないよう慎重に探しましょう。見つけた卵は新しいマットへ軽く埋め、幼虫はマットの上に置けば自分で潜っていきます。
割り出しは少し緊張する作業ですが、焦らず丁寧に進めれば初心者でも無理なく行えます。ぜひ本記事を参考に割り出しに挑戦し、卵や幼虫の成長を観察してみてください。
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